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2009/04/23 市民公開講座 第6回「心臓病から生命を守る」の質問と回答 [薬剤関係]   2009/04/06 第6回市民講座 名古屋ハートセンター 松原徹夫 先生

2009年4月23日 (木)

市民公開講座 第6回「心臓病から生命を守る」の質問と回答 [予後の注意]

 

[予後の注意]

Q:ステントを入れたが永久か。ステントを入っていてもCT・MRI検査は可能か。


A:ステントはステンレスでできていますが、磁性を持たないステンレス(316L)が使用されていますので、MRIの影響はありません。ただMRIの磁力の方向によっては発熱することは理論的にあり得ますが、極めて短時間の反応であり、臨床的に問題になることはありません。CTはもちろん影響はありません。



Q:カテーテルによる再検査は必要ですか。何年毎に行えばよいですか。日常生活の注意点は。


A:狭心症と心筋梗塞は発症機序は全く異なります。1995年頃までは、冠動脈に動脈硬化が徐々に進行し、高度狭窄となり狭心症を発症し、更に動脈硬化が進行するか、狭窄部に血栓ができて心筋梗塞を発症すると考えられていました。したがいまして、この頃までは虚血性心疾患の既往を持つ患者さんに対しては、3年毎や5年毎に冠動脈造影を行い、冠動脈が閉塞する前に発見し冠動脈形成術を行うのが良し、と考えられていました(しかし、これを裏付けるデータはありませんでした)。

1998年厚生省の研究班が、心筋梗塞発症患者の冠動脈閉塞部位の数ヶ月前の狭窄度を調査した結果が発表されました。(図1)
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心筋梗塞は高度冠狭窄から発症するよりも、軽い動脈硬化から発症する頻度が遙かに多いことが明らかとなりました。
何故軽い狭窄度の動脈硬化が閉塞の原因となるのでしょうか?
動脈硬化の病巣の組成には、繊維性組織でできているものと脂質が溜まったものがあることが明らかとなりました(図2)

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心筋梗塞は、冠動脈の狭窄度とは無関係に脂質が溜まったニキビのような動脈硬化ができ、それが破裂して動脈硬化の中身と血液が接触し大量の血栓ができたときに冠動脈は閉塞し、心筋梗塞が発症するのです(図3)。

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このようなことが明らかとなってからは、定期的に冠動脈造影を行っても、「高度狭窄は生じていないから心配ありませんよ」と言った、1ヶ月後に心筋梗塞を発症する事例もあることから、定期的な冠動脈造影を行うよりも、脂質が多く溜まった危険な動脈硬化にならないように、悪玉コレステロール(LDL-C)を70mg/dl以下まで下げる治療を行い、とにかく突然発症する心筋梗塞を回避する治療を行うことが優先されます。しかし繊維性動脈硬化が徐々に進行し、ある日労作性狭心症を発症することは起こりえます。しかし繊維性動脈硬化による狭心症は急変する可能性は低いので、狭心症が起こってから冠動脈造影を受けて頂き、治療方針を決定して頂ければ宜しいわけです。血行再建療法を受けた後は、LDL-Cを低下させるスタチンを服用し、心機能が良い方は毎日適切な運動を行い、定期的な運動負荷試験を受け、繊維性動脈硬化が高度狭窄になった段階で、狭心症や検査による虚血性所見で早期発見する分けです。
但し、冠動脈形成術を受けた方は、治療部位の治り方を見て今後の薬物療法の方針を決定するために、従来の金属ステントなら治療後6ヶ月頃、薬物溶出型ステントなら治療後1年後頃に冠動脈造影を受けることが一般的です。
また、無痛性虚血性心疾患の方や、心機能が悪く運動負荷試験を受けることができない方の場合は、数年毎に冠動脈造影が必要になる場合があります。



Q:バイパス手術後の注意点を知りたい。


A:狭心症でバイパス手術を受けられ、どこにも虚血を生じなくなった方の場合は、術後の運動制限は全く不要です。その後の管理のポイントは新たな冠動脈狭窄の発症予防ですので、動脈硬化を進行させる危険因子(高血圧症、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙)を厳重にコントロールすることが最重要です。
血圧は130/85(糖尿病、腎機能障害の人は80)以下、脂質管理はLDL-Cを70mg/dl以下、糖尿病はインスリン非分泌系の薬を組み合わせて、食後2時間血糖を140mg/dl以下が目標値となります。
心筋梗塞を発症された後バイパス手術を受けられた方で、心機能が低下していない方は、上記と同じ対応で宜しいです。心機能が低下している方の場合は心不全予防治療も加わりますので、適切な運動と心臓を長持ちさせる薬(β遮断薬とレニン・アンギオテンシン系抑制薬)を中心に服用し、利尿薬が必要になる場合があります。



Q:40年前に先天性心臓(心室欠損症)を受けたが、術後の注意点は。


A:若いときに受けた先天性心奇形の手術にたいしては、運動制限不要ですし、健常人と同様動脈硬化の危険因子があれば、それに対する内服治療を行うことになります。ただ一つ注意することは、手術時に心室中隔の穴を塞ぐためにパッチ(牛の心膜から作った膜)を縫い付けてありますので、そこに細菌がついて増殖する(細菌性新内膜炎)ことの無い様にすることです。我々の血液中に細菌が入り込み、細菌性新内膜炎を起こす頻度が高いのは抜歯です。歯を抜く治療を受けるときは、歯医者さんに心室中隔欠損症の手術を受けた既往があることを申告され、抗生剤を通常の倍量、倍期間処方して頂くことが必要です。


2009/04/23 市民公開講座 第6回「心臓病から生命を守る」の質問と回答 [薬剤関係]   2009/04/06 第6回市民講座 名古屋ハートセンター 松原徹夫 先生
   
   
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