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心不全
Q:心不全の実態をご存知ですか?
「心不全」は病名ではなく、心臓が衰えた状態をあらわす「症候名」です。
放置すれば生命の危険を伴いますが、最近では薬物治療に加え、ペースメーカーを使った新しい治療法も導入され、生命予後の改善(寿命の延長)と生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:QOL)の向上が望めるようになってきています。
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●十分に血液(酸素)を送り出せないので…
- からだに必要な酸素がたりなくなり息切れがしたり疲れやすくなります。
- 細い血管に血がいきわたらなくなるので手足の先が冷たく、肌の色が悪くなります。
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●血液をうまくからだ中にまわせなくなるので…
- 血液がスムーズに流れないで、臓器に水分がたまりやすくなります。
- とくに足の甲やすねのあたりがむくみます。
- 肺に血がたまる(肺うっ血)と水分が肺にしみだし、さらに進むと酸欠状態になるので、横になっていても呼吸が困難になります。
●急性か?慢性か?
- 急に心不全症状が出てきたものは「急性心不全」(時間~日単位)
- 慢性的に心不全症状がある場合は「慢性心不全」(月~年単位)
慢性心不全から急にわるくなったものは「慢性心不全の急性増悪(ぞうあく)」といいます。
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重症慢性心不全は、1年死亡率がガンよりも高く、軽症慢性心不全でも4年死亡率が胃ガンや乳ガンの進行ガンと同等で、非常に予後が悪い疾患であることがお分かり頂けると思います。
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最近次の症状を自覚される様になった方は初期の心不全の可能性があります。
- つかれやすい
- 歩くと息切れがする
- 横になると呼吸が苦しい
- 足がむくむ
そのような方は、次のチェックリストを参考にして、該当する症状を書き出して循環器専門医に御相談下さい。
□最近、いつもとおなじ動作をするときにも息切れがするようになってきた
□いつも体がだるい、ひどく疲れている
□寝ていると息苦しくなって目が覚めることがあるが、体を起こすと少し楽になる
□夜間にトイレに起きる回数が増えた
□とくに夜中に咳が出る
□ピンク色の痰が出ることがある
□顔や足がむくむ(むこうずねを押すと指のあとが残る)
□最近、体重が急に増えた
□食欲がない
□ずっと便がゆるい
□狭心症や心筋梗塞を起こしたことがある
□現在治療中 ■薬剤名:
□高血圧、高脂血症、動脈硬化などを指摘されたことがある
□糖尿病を指摘されたことがある
●心不全の診断
- レントゲン:心臓が大きくなり肺に水があふれます。
- 採血:採血ではBNPという項目が高くなります。
- 心エコー:心臓の超音波検査で心臓の動きが悪いのが分かります。
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●心不全の治療
心臓を休ませる治療が大切です。
以前は心臓を無理矢理働かせる強心薬を使う治療が主流でした。しかし、この治療では一時的に元気に体を動かせるようにはなりますが、心臓を長持ちさせることができないことが分かりました。
したがいまして、現在は心臓を長持ちさせるために、心臓を休ませる治療を行います。
具体的には血圧を下げ、心拍数を減らし、体内の余分な水分を減らす薬を使います。
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●各重症度に応じて段階的に治療します。
近年、左室の心筋内の伝導速度が一様でないために、左室の統一された収縮ができなくなり心不全を発症する病態があることが分かりました。
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このタイプの心不全には、ペースメーカーを用いて、左室の統一された収縮を回復する治療法が開発されました。これを心臓再同期療法(CRT)と言います。
図のように、左心室の側壁を刺激するための電極を冠静脈洞から挿入します。
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